以前から海外に比べ日本の携帯料金は高いのではとの声もあり、現在政府による携帯料金の値下げ要請に携帯各社は対応を迫られていますが・・・。日本の携帯料金は世界に比べ本当に高いのか?気になったことはりませんか?
旅行や出張の際に気になる中国の物価水準に関して気になるところだと思いますが、今回は実際に自分が中国上海で支払っている携帯料金を中心に日本と比較してどうなのか?書きたいと思います。
先に中国の携帯料金を言ってしまうと・・・激安です!。
51元(日本円で¥783円)なんです!。しかしこれが「高いか?安いか?」は値段だけではなく、車で例えると「価格」と「性能(スピード)・品質(安定的に走れるか)」も合わせて比較しないと意味がない・・・ということでその点も合わせて書いております。
はじめに中国の携帯事情について簡単に説明いたします
携帯電話サービスは国から利用できる電波が割り当てられており、民間企業が自由勝手に営業できる分野ではありませんよね。そのためか中国も日本と似たような状況です。ただ、格安SIMなどはまだ見たことがありませんが、大手キャリアでも料金は安いので格安SIMの出番がないのが実情かもしれません。
中国では携帯通信3大キャリアが独占しています
日本にはNTTドコモ、ソフトバンク、auの3大キャリアがありますが、中国にも中国移动通信(China Mobile)、中国聯通(China Unicom)、中国電信 (China Telecom)の3大キャリアがあります。その中で現在使っているのは中国においてトップの中国移动通信です。
ちなみに以前は中国聯通(China Unicom)を使っていました。なぜかと言えば・・・その当時から電波は中国移动の方がいいと言われていたのですが、以前の日本におけるソフトバンクのようにiPhoneを単独で取り扱っていたためです。
昔は1か国1キャリアの縛りがあったこと、中国移动が採用した3Gの電波方式が中国オリジナルだったためなかなか中国移动でiPhoneはサポートされませんでした。
途中からAppleの方針が変わり、1か国-1キャリアの縛りがなくなり、複数社の取り扱いが可能になった際にはiPhoneが中国移动の中国独自3G規格TD-SCDMAに対応することで使えるようになりました。やはり、トップの契約者数を無視するわけにはいかなかったのでしょう。
中国では日本政府が目指す通信分離方式があたりまえ
中国で携帯回線を契約する場合、多くの人がそうですが、携帯本体は別購入で純粋な通信プランのみを契約する分離方式が一般的です。日本政府も通信費値下げの手段として、通信会社と携帯本体の販売を分ける分離方式を推し進めようとしています。
日本でも分離方式を推し進めていくと・・・日本市場で半分のシェアを持つといわれるiPhoneですが、10万円を超える本体価格を考えると2~3年ごとに機種変更していた層で躊躇する人が増えそうな気がします。そうなるとユーザーの携帯本体の買い替えによる更新が遅れ、今後の通信方式の進化を遅らせる要因となります。
携帯料金の支払い方法にも違いがあります
ちなみに、もう一つ日本と大きく違う点があります、携帯料金を残高から引き落とすプリペイド方式だということです。昔はコンビニなどでチャージカードを買い、チャージしていたので多少不便でしたが、現在は銀行のキャッシュカード兼デビットカードである銀聯カードで、簡単にチャージできるようになったのでまったく不便を感じません。ですが、正直なところ日本のようなクレジットカード払いや銀行口座引き落としの方が便利ではあると感じています。
中国・上海で利用中である中国移动通信の通信プランについて
現在契約しているプランはごく一般的なプランで、4G回線通信容量は5GBまで、無料通話80分のセット料金が48元というものです。それにオプションが3元の合計51元(日本円で¥783円)です。
どんなオプションかというと、かかってきた電話回線の電話番号を表示するというものです。日本では初めから表示するようになっているので、わざわざオプションをつける必要のないものです。例えていえば固定回線にある「ナンバーディスプレイ」サービスのようなものです。ですのでこのオプションを込みの合計金額で書いています。
確かに中国の携帯料金は格安です・・・コロナ禍で半年も利用しない携帯料金を払い続けられるのも格安だから
今年1月の上海出張帰以来コロナ禍の影響をまともに受け、その後一度も上海に行くことなく電源を切ったままの中国用のiPhone。そこに刺さったまま眠り続ける中国移動のSIMカード。使うわけでもないのに携帯料金(通信プランによる固定費)だけが毎月残高から引き落とされ続けています。
使用を止めることも考えましたが、中国の銀行口座、航空会社などの会員登録など様々な登録電話番号に中国の電話番号を登録しているため、後々のことを考えると極めてめんどくさい。とりあえずそのまま支払い続けることに。
それが可能なのも・・・ずばり中国の携帯料金が格安だからです。もし日本のような料金であれば・・・正直、使わないまま半年も支払い続けるに気にはなれません(汗)
通信容量未使用分を繰り越せるも・・・毎月消えていく現状
左写真の残り容量の欄に「10GB」の表示がありますが、これは現在・・・前述のように電源をOFFにしたまま回線をまったく使っていないためです。この回線のシステムでは前月未使用分の通信容量が今月に加算されて表示されているためです。(前月5GB+今月5GB=10GB)ここら辺はありがたいシステムですが、繰り越せるのが翌月までなので、結局毎月ひと月分は流れて行っている状況です(涙)。
反対に例えば月半ばでひと月の容量5GBを使い果たした場合どうなるか?
・・・と言えば、従量制に切り替わるため割高になります。そのため追加で通信容量を購入する容量別のパックが用意されています。必要に合わせてスマフォのアプリ上で様々なパックを選択し購入しています。ここら辺んは柔軟にできてます。
日本での契約中のキャリアと通信プラン
日本で契約しているのはauで通信容量7GB、音声通話は従量制です。携帯本体のiPhoneはApple StoreでSIMフリー版を購入し、現在本体の割引もない状況です。中国の契約プランと大きく違う点は固定光通信とのセット割引(スマートバリュー)、家族割引などを適用している点です。これで¥2,000円ぐらい割引となっています。これがないと¥6,000円ぐらいするので・・・中国と比べるとかなり開きが大きくなります。
海外(中国)と日本のの携帯料金を比較
海外の通信費を比べる場合に必要なこと
物価などを考慮せずに価格だけ比べても意味はありません。しかし、物価で比べるといってもその割合は一定ではなく、例えば中国経済でトップの都市上海でいうと、基本的に公共交通機関、タクシーなどの運賃は安く抑えられています。一方、中国でも人気の外資系のスターバックスの価格などは日本とあまり大差はありません。それでも店内で空いてる席を探すのに苦労するほど人気です。
まずは中国と日本の物価差を比べてみると・・・
マクドナルドのビックマックの価格を比べる
よく各国の物価を比較する際に用いられる「ビックマックの価格」。世界各国に店舗を持つマクドナルドの価格を比較することで、各国の物価を比較しようというものです。単なる1品だけなのでどこまで実態を反映するのかということも言われていますが、メジャーな1つの比較項目としてまずは見ることにします。
ビックマックの価格は・・・
- 中国では ・・・麦当劳(マクドナルドの中国名) 巨无霸 23元(日本円で353円)
- 日本だと・・・マクドナルド ビックマック 390円
あまり価格差がないですね・・・(汗)。GDP世界2位まで経済発展してきた中国とは言え、1人当たりのGDPでいうとまだ日本より低位なのでまだ物価差は確実にあります。
やはりビックマックだけでの比較が難しいので 、別でも比べることに(ちなみに中国のスターバックスなども日本と同じぐらいの値段なので、中国において外資系は全体的に高めな気がします)
ファミリーマート(全家)で比べる
そこで次に比べるのが、前回の「中国のファミリーマートにはザリガニ弁当がある・・・」でも書いたように、中国で愛されているファミリーマートに置いている商品の価格で比べてみることに・・・。
中国のファミリーマートである全家(中国での名称:通常中国で活動する外国企業は漢字の名称を付け活動しています)でのおおよその価格はというと、ペットボトルの500mlの水が2元(日本円で30円)ぐらい、コカコーラが5元(日本円で75円)ぐらいです。
日本のコンビニでは水だと100円前後、コカコーラだと140円ぐらいなので、日中間の物価の差は肌感覚で2~3倍ぐらいです。あまりにも大雑把ですが、肌感覚で行っても2倍前後です。
ちなみに、先ほども述べた公共交通機関が安いといいましたが・・・
上海市内の公共交通の路線バスの運賃は均一区間の料金で2元(30円)です。地下鉄の初乗り運賃で3元(90円)です。東京の地下鉄の初乗り運賃が170円なので、これだと2倍ぐらいとなります。バスだと200円前後ですね。バスだと6~7倍になります。
日本の場合は地下鉄の方がバスより安く、上海は反対に地下鉄の方がバスより高いので比較は難しいです(汗)。各国、各都市の事情が違いますから・・・。やはり物価を比べるのは大変です。
物価差は肌感覚を重視し日中間の物価の差を2~3倍として話を進めます。
この物価差を日本の携帯料金に当てはめると・・・
先ほどの述べたように、自分が中国で実際払っている携帯料金約800円を肌感覚物価差2~3倍であると仮定し、日本の物価に直すと¥1,600~2,400円ぐらいとなります。
これに通信容量差(日本の7GBは中国の5GBの1.4倍)もかけると¥2,240~3,360円(中間値¥2,800円)となり、自分のように家族割などを適用した場合の¥3,500円前後と比べるとだいぶ近づいてきます。
しかしです。価格だけ比べても意味はありません。価格相応ということもありますから。
次に通信の品質・速度などを考慮すると・・・。
中国・上海における通信速度・品質・安定度など
今まで上海市内で3つの場所に住んでいました。初めが长宁区、次に徐汇区、そして闵行区、虹橋空港の西側エリアで再開発された虹橋商務区にある集合住宅です。中心部から外れているものの、近年オフィースビルや集合住宅が新築されている状況です。
そこでの携帯の通信環境はというと・・・(今年1月までの話となりますが)通信スピードは正直いって、早いとは言えない状況でした。特に夜などの多くのユーザーがネットを使う時間帯には極めて遅くなり、固定回線のWiFiも遅くてストレスがたまるレベルです。
携帯のアンテナは3本であっても実用的な速度でない場合もあるので、回線容量が飽和している状況のようです。また固定回線の方も、日本でもそうですが大元の回線をアパート全体でシェアされており速度が低下しています。
中国上海の場合、以前住んでいた所もそうですが、場所により携帯に届く電波の強さにムラがあります。例えば建物の面する道路では問題なくつながるのに、建物の中の道路と反対側に面する自分の部屋ではアンテナの数が少ない状況などです。
ちなみに上海全体がそうなのかと言えば・・・もちろんのこと、世界的にどこの都市でもそうですが最中心部の商業エリアなどではどこでも万遍無くつながります。
海外の携帯回線を使ったうえで、日本の携帯通信環境の感想
日本のように大都市部でもない普通の住居エリアでも万遍無くつながるのは本当に素晴らしいものだと実感します。そのうえで携帯料金の価格差に両国間の物価を調整のうえ考えると・・・上海での携帯料金は確かにかなり安いですが、それは物価差と通信品質相応の安さではないかと感じます。
日本の場合には住居エリアであればアンテナ等の整備にかかる時期的な差異はあれ、全体的に一定レベル以上の通信環境は保たれていると思います。日本の安定した通信品質は固定回線も含めて価格に値するものだと感じています。
例えば・・・
上海の料金プラン¥800円に物価差や通信容量差などを調整した場合の¥2,800円(中間値)と、日本で現在使っている料金プランの¥3,800円を比べた場合、どちらか1つを選ぶとしたらどちらを選ぶか?仮定の話ではありますが・・・日本の料金プランを選びます。携帯は安定的に繋がってなんぼだと思うので。
ただ、日本の割引前の料金¥6,000円という場合は・・・かなり差があるので、もしかしたら中国上海のプランを選ぶかもしれません・・・(汗)。
日本政府の値下げが行われることには大歓迎ですが・・・通信品質の維持と将来的な通信網の技術革新で世界に遅れを取らないことも願っています。
また別の機会に中国と日本の物価の比較に関することを書きたいと思っております。